ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
SS*雅*
【 *雅* 】
学校帰り。
付き合って一週間の俺たちは、今日も手を繋いで帰っていた。
「真っすぐ家に帰るのも味気ないし、どこか寄っていこうか」と。なんと仁奈からの提案。
「え、……いいの?」
「むしろ、なんでダメ?私たち付き合ってるんだよ?」
「~っ」
全俺、歓喜。
俺は暇さえあれば仁奈とくっついていたいし、暇がなくても会いにいきたいし、とりあえず仁奈の存在を俺の視界に常にとどめておきたいからさ。
向こうから誘ってくれるなんて、ご褒美以外のなにものでもない。毎日「どこか行こうか」って誘うのも、悪いしね。
(仁奈にだけは嫌われたくないから。焦らず、じっくり)
なんて思っていたのに。
「あ、雅の家に行きたい」
「……はい?」
この子ったら。
こんな発言をしちゃう。