ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
(ていうか、それを考えたら歴代の元カレたちは頭にくるな。よくこんな可愛い子にヒドイこと言えたもんだよ)
元カレの人数、六人。
高校一年生で、その人数は……多い、かもしれない。
でも蓋を開けてみれば、手を握って赤面するようなコトしかしてなくて。現在彼氏の俺からすると、心の底から安堵しちゃう。
もし仁奈が誰かと最後までしてたかと思うと……やめよう。考えるだけで嫌になってきた。
「相変わらず大きいね、雅の家」
(え、もう着いた?)
急がなくていいんだよ仁奈、二人でゆっくり前進していけばいいんだから――と一言も言わないまま。なんと俺の家に着いてしまった。
……ダメじゃん、俺。
「えっと、仁奈。やっぱ今日、俺の家は汚いっていうかさ。その、」
「……」
「えっと…………ごめん。正直に言うね。
焦ってない?」
「焦る?」
キョトンした仁奈。その顔でさえも可愛くて、思わずスマホに手が伸びる。
連写したい、どんな差分だって、俺にとっては一枚一枚が宝物なんだ。もちろん、今は自粛したけども。