ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
完璧に忘れてたけど、そうだよね。このピアスは元カノへプレゼントする予定だったし。いつまでも仁奈の前でつけてたら、そりゃ嫌な気持ちになるよね。
「ごめん、すぐ外すね。待ってて」
「え、いや、そうじゃなくて!」
「ん?」
俺の手を掴んで、首を振る仁奈。言いたいことがあるんだろうけど……何だろう。
「……」
「……」
仁奈が喋るまで待つ。ちょっと気まずそうな仁奈に声を掛けたいのは山々だけど、きっと今、仁奈は自分の中で整理してるんだろうな。
仁奈の言葉を、仁奈の口から聞きたいから、待つ。
「ピアス……をね」
「うん」
「私にも、つけてほしい」
「……ん?」
へ?ビックリしすぎて固まった。
いや、だって……ん?