ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「雅が、今まで自分を押し殺してきたのは知ってる。そのピアスがストッパーになってるのも知ってる」
「俺自身も、このピアスを〝戒め〟って言ったしね」
「うん。でも、ずっと一人で背負うのは寂しいんじゃないかなって。だけど、外したくないんじゃないかなって。それは今までの雅にとって、すごく大事なものだったから。
なら、私が一緒につければいいんだって。そう思ったの。そのピアスを見て、雅が険しい顔をするんじゃなくて。私とお揃いなんだって、笑ってほしいの」
「……それで、」
自分もピアスをつけるって言ったんだ。いつまでも俺がピアスに縛られてるんじゃないかって、心配してくれたんだね。
「ごめん、ココが外って知ってるけど……キスさせて」
「え、まっ、――んんッ!」
かわいい、可愛い仁奈。もう本当に大好き。大好きすぎて仕方ない。こんなどうしようもない俺のことを、ここまで思ってくれる人は世界中、どこを探しても仁奈しかいない。