ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「――なーんだ、そんなこと。ちょっと待ってて。あ、お兄ちゃんのもう片方のピアスってどこにあるの?」

「引き出しの一番上。黒いノートの近く、だったかな?」

「オッケー。やった合法的に推しの部屋に入れる!」


ルンルンで家に入っていく美麗。俺たちはわけがわからなくて、互いに顔を見合わせながら美麗の帰りを待つ。

すると、すぐに美麗は出て来た。片手に安全ピン。片手にピアスを持っている。


「はい。じゃあ煮干し女から、カバン出して」

「う、うん」


美麗はカバンを受け取ると、ぶら下がっている黒ネコをつかむ。何をするかと思いきや……ブスリ、と。ネコの片耳にピンを突き刺した。


「え、えぇ⁉」

「うっさいわね。こんくらいでキャーキャー言わないでよ」


ピンを抜いた後、美麗は持って来たピアスをネコの耳に通す。すると穴をあけたおかげかスルスル入っていき、無事につけることが出来た。

それを見た瞬間、「なるほど」と納得。

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