ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「どうしたの、仁奈?」
「えっと聞きたいことがあるっていうか……あ、ある意味、これも勉強なんだけどさ」
「うん」
仁奈の顔を覗きこむ。そして潤んだ瞳と目が合った瞬間、とんでもない爆弾発言がさく裂した。
「雅、教えてほしいの。
は、初めての時って……痛いの?」
「……」
ピシ――と俺が石化したのは言うまでもなく。ド天然彼女は、時と場所を選ばず、大砲をかましてくるから恐ろしい。
「だ、誰から聞いたの?」
「小夜ちゃん」
(まだ仁奈には早いよ、新田さん!)
でも新田さんなら、早くから仁奈にアドバイスをしていそう。だって俺、前は遊び人だったしね。心配して、親友に色々教えておきたい気持ちはよく分かる。
(それを考えたら、確かに。隠す事じゃないかもね)
仁奈がそういう知識を身に着けておくのも必要……って確かに、そう思うけど。
さっき暴走しかけちゃったのもあるし、今そういう話題を話すのは、正直クる。かといって、仁奈の興味ありげな瞳も無視できない。