ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「え~、小里さん無視されてね?」
「気まずいねぇ、あの二人」
「何が原因で別れたんだろうね」
私の子供っぽさが原因のようです……とは。さすがに言えない。
だけど鈴木くんは言うんだろうな。聞かれたら、ありのままを答えるんだろうな。私が子供っぽいから、別れたって。
(もう、ヤだ……)
子供っぽくなりたくてなってるわけじゃない。いつも恋愛の入り口は楽しいのに、どうして出口はツライんだろう。
私の恋愛の仕方が、そうとう間違ってるのかな。……こんな思いは、もうしたくない。
正しい恋愛の仕方を覚えたら、こんなにツライ思いをしなくていいのかな。
その時。
「だから言ったじゃん。俺にしときなって」
ざわっ――
空気が、大きく振動した。