ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「小里さん!あの香月くんに告白されたの!?」
「雅くんからは告白しないって噂で有名なのに!」
「どうやって仲良くなったの!?」

「仲良くなんてなってない!ただ、キ――」


キスをしただけ!なんて。

危うく口にしそうになった言葉を、慌てて呑み込んだ。

香月雅が私に告白してキスをした、なんて。もしも姫岡さんが聞いたら、どれほどショックを受けるだろう。


『何番目でもいいから雅くんの彼女でいたい』


並大抵の覚悟じゃ、言えない言葉だ。それを言ってのけた姫岡さんは、スゴイ。

それだけ香月雅を深く愛せるなんて……女神様じゃないの?あんな女好きのキス魔。どこがいいのか、さっぱり分からない。

……話が逸れた。とにかく。

香月雅に真剣な姫岡さんに、香月雅の一時の戯れに傷ついて欲しくない。だから「キスされた」なんて、絶対に口外しない。
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