ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「さっきの復習。今、何をしたい?素直に言ってごらん」
「な、なにって……」
漆黒の瞳と、視線がぶつかる。すると操られたように、唇がワナワナ揺らいだ。
「き、キス……」
「うん。キスを?」
「絶対に、しないで」
「……は?」
ニッコリ笑ったまま。香月雅は私から離れた。笑顔が怖いのは、気のせいだと思いたい……。
「今の流れだとキスするよね?なんで拒否?」
「自然の流れに任せたくないから……」
自然に任せたら最後、絶対ほだされるに決まってる。それが分かってるからこそ、この一線だけは超えてはならぬ。絶対に。
(香月雅に対して、警戒心は解かない。何がなんでも……!!)
私の鋭いオーラを感知したらしい。香月雅は流し目で、ため息をついた。
「他の男には、6回も落ちたくせに」
「??」