ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「小学生に戻りたい。そうしたら〝別れたくない〟って言えたのに」
ポツリと呟く。だけど頭の隅っこで、さっき元カレが言った事を思い出した。
――小学生と付き合ってるみたいで、全然盛り上がらねぇんだよ
なにが……「小学生に戻りたい」だ。相手の目からは、ちゃんと「小学生」に見られてんじゃん。
「はぁ~……」
しょせん。何をどう考えたところで、相手が「ダメ」だと思った瞬間にダメなんだ。小学生になろうが、高校生を貫こうが。私の根本が変わらないと、ダメなんだ。
私の根本って、どこにあるんだろう。
十六年の人生が、積み木みたいに積み重なっているんだろうか。じゃあ、それをだるま落としみたいに崩していけば、私の根本って変わるんだろうか。
「いや……無理だな」
結局は。
とどのつまりは。
恋を知らないと、根本は変わらないんだ。