ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


――昨日の騒動があって以来。


学校の皆が私を見る目は緩くなったり、険しくなったり、色々だ。質問攻めを受けた時は「私は香月雅に遊ばれているだけ」を切り札に、うまくかわしている。


「はぁ、やっと落ち着いて仁奈と話せる~」

「同感だよ、小夜ちゃん……」


四月から友達になった、新田(にった)小夜(さよ)ちゃん。

数日の内におこった数々の出来事を話したかったのに、昨日の騒動のおかげで、ろくに話せていなかった。


「よっ!あの香月くんに告白させた女、小里仁奈!」

「ぐぉぉ……やめておくれ、小夜ちゃん。誤解だから」


小夜ちゃんはおっとりしてるけど、ノリは良い方で。今も私が苦しむ話題をわざともってくるあたり、本当に良い根性……ごほん。良いセンスをしている。

内巻きボブのほんわかな見た目からは想像できない、竹を割ったような性格の持ち主だ。


そんな小夜ちゃんから「ぶっちゃけ」と。お昼休みの騒がしさに紛れて、本音トークが繰り出される。

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