ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「香月くんのことはどう思ってるの?キスまでされたんでしょ?」
「どうって……別に何も。キスに関しては、勝手にされて不快感しかないし」
「テクが悪かったとか!」
「経験が浅い私に、テクが語れるとでも?」
スパッと言い切ると「六人と付き合ったくせに」と皮肉を言われた。
六人と付き合ったけど、キスするまでに破局するパターンがほとんどだったから。私の恋愛歴は、広く浅くって感じだ。
「っていうか香月雅とキスしたって誰にも言わないでよ?小夜ちゃんだから話したの」
「マジでありがとう、仁奈。あの香月くんとのキス談が聞けるなんて、本当に夢みたい」
「……小夜ちゃん、香月雅のファンなの?」
「まさか。興味本位だよ」