ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

「その様子だと、香月くんと相性がいいってわけじゃなさそうだね?」

「良いも何も……。そもそも存在が別次元だっていうのに、どうして関わりを持っちゃったかなぁ」


仲のいいカップルみたいに、昼休みにメールまでしちゃってさ。


……ん?同じクラスなのに、どうしてメール?あの香月雅なら、人目を気にせず直接話しかけてきそうなのに。

辺りをキョロキョロするも、目当ての姿は教室になかった。どこでお昼を食べてるんだろう?食堂かな?


すると、ちょうど教室に戻って来た香月雅。

男らしい骨ばった首筋から垂れるネクタイは、なぜか歪んでいる。


「雅くん〜私が直してあげようかぁ?」
「またなのー?さすがだねぇ香月くん」


ネクタイが歪む背景を想像した女子が、香月雅のネクタイを直さんと、我先に手を伸ばした。その光景は、まるでバーゲンセールに群がる狩人たち。

渦中の香月雅は、さぞ怖い思いをしているだろうと思いきや……


「ありがと~、俺がするよりメッチャきれいだね」


来るもの拒まず、ニコニコ笑顔で対応。これには私だけでなく、小夜ちゃんも感服した。
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