ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

恋って、やっぱりステキだな。女の子がキラキラできる魔法だ。私もいつか、キラキラ出来るかな。小夜ちゃんと同じ笑顔を浮かべて、話が出来るかな。

今は……首が痛くなるまで、小夜ちゃんを見上げてる感じ。まだ私は、恋の土俵に立てていない。


(だから早く香月雅に〝楽しい恋の仕方〟を教えてもらいたいのになぁ。今日も〝一緒に帰れない〟っていうし……ん?)


目当てのメンズショップに到着した時。私の目に写るのは、なんと香月雅。

人のよさそうな笑顔を浮かべながら、アイドル並みのオーラを放ち、店内にいる女子を片っ端から虜にしている危ない男。

さらに驚くことに、彼は一人ではなかった。


「雅くんは、どれが好き?」

「ん~、俺はコレかな。似合う?」

「うん、似合う似合う!カッコいい」


昨日、帰り際に出会った女子の先輩。


『あ、雅く〜ん。さっきはどうも。また明日ねぇ』


あの人と、何やら楽しそうに品物を選んでいる。その姿は、まるで幸せそうな彼氏彼女。先輩もかなり美人で、香月雅とお似合いだった。
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