ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

「あちゃ~、何とタイミングの悪い」


気まずそうに、チラリと私を見る小夜ちゃん。でも……大丈夫だよ、小夜ちゃん。

別に私は、香月雅を好きなわけじゃない。だから傷つかない。傷つく理由がない。


「あの二人が付き合ってる噂、聞いたことないけどなぁ。こんなとこで何してるんだろうね」

「……さぁ。デートなんじゃない?」


そっけなく返事した私に、小夜ちゃんが「怒ってる?」と二回目の質問。私は、静かに頭を振る。


「そんなことより小夜ちゃん、誕プレ選ぼう」

「いや、さすがに気まずいから店を出ようや。他にもメンズのお店はあるし」


私の腕を掴み、ズルズルとショップを後にする小夜ちゃん。彼女の素晴らしいところは、気を遣えるところと、優し過ぎる性格。

ショップを出るやいなや、「ちょっと待ってて」と。空いたベンチに私を座らせ、なんとドリンクを買いに行ってくれた。


To.幼なじみさん。小夜ちゃんはイイ子すぎるから、早くつかまえておかないと、すぐ他の男子にとられちゃうよ……!
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