ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

「〝いつも仁奈と一緒にいる友達〟って情報だけだったから。名前もいま知った。良い子と友達になれて良かったね、仁奈」

「……へ?」


なに、それ……なにそれ。
なにその反応。

じゃあ香月雅は小夜ちゃんを、「新田小夜」じゃなく、「小里仁奈の友達」として認識してたの?


香月雅の中に〝私が基準ではかられる物事がある〟と知り、ビックリする。それに全ての女子が恋のターゲットではないと知り、更にビックリだ。


「遊び人のくせに……?」

「喧嘩腰なのは、一昨日されるがまま俺に貪られた、この可愛いお口かな?」

「だ、だって……!」


私の名前は覚えてたじゃん。公園で会った日、小里って呼んだじゃん。次の日は、仁奈って呼んだじゃん。

イコール、私のことはフルネームで知ってたって事でしょ?それなのに、小夜ちゃんの事は知らなかったの?

なんで?
どうして?


(私の名前を知っていたのは〝同じクラスだから〟って理由だけ?)


って聞いてみていい?聞いたら、どんな答えが返ってくるんだろう――

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