ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「わ、私もピアス開けたいんだけど〜、開けたいって思ってるだけっていうか〜」
「……あぁ、小夜ちゃんに何か言われた?」
(げ、鋭い)
香月雅が動揺した理由を知りたいのに、私が動揺してどうするの……。焦っているのを悟られまいと、素直に頷く。
「えっとさ、なんで片方だけピアスしてるの?どこかに落としたなら、交番にでも行ってみたらいいと思う」
「仁奈の発言って、たまに本気なのか天然なのか分からないよ。ちなみに、今のはどっち?」
「ほ、本気」
「え〜分かりずら」
ふふ、と笑った香月雅だけど、公園の横を通った時。「ちょっと話そうか」と、中にあるベンチを指さした。お互い飲み物を買って、準備満タン。
「珍しい。仁奈もサイダーとか飲むんだ」
「抹茶オレなかったし。それに、この暑さだし」
だけどいつもの癖で、ボトルを上下に振ってしまう。しまった、抹茶オレじゃなくてサイダー買ったのにシェイクしちゃった……今、開けると爆発するよね?もう少し後で飲もう。