ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
彼女の好きなタイプはもちろん、好きな色、好きな教科、好きな言葉、好きな仕草……きっと本人までも、そこまで気にしてなかったろうって思う程、緻密な観察がなされていた。
「確かに、コレは重いね……」
「でしょ~」
自身もノートを見ながら、ケラケラ笑っている。だけど……あるページにたどり着くと、紙をまくる手をピタリと止めた。
「自分でもやりすぎかな?って思う時があってさ。それを指摘してくれたのは、中学三年の時に付き合った彼女だった」
『え……なにこれ、気持ち悪い』
『私むり、なんか怖くなってきた』
『明日からはただのクラスメイトってことで』
「はたから見て俺ってやっぱり変なんだって、その時やっと気づいたんだよねぇ」