ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
とあるページを見る。そこには【 坂浦さくらさんの気になるところ…ちょっと口が悪い 】と書いてあった。だけど、その下に【 もしも彼女がキツイ言葉を言ったら、俺が別の言葉で言い換える。少しずつ直していく 】とも。
(口が悪い、なんて。結構なマイナス要素じゃん。それなのに見放さず、どころか、支えようとするなんて)
今まで付き合った元カレたちは、絶対にそんなことをしない。「うわ引くわ」で終わりだと思う。
だから、なんていうかな。
そう、私は――
「うらやましいなぁ」
「うらやましい?」
「うん、彼女たちが羨ましい。これだけ彼氏に愛されてさ。付き合ってる時、きっと幸せだったろうね」
「仁奈……」
唖然とした顔をした香月雅だけど、力が抜けたように笑った。もう一つのドリンクにストローをさす。