ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「はぁ、気が抜けるなぁ。っていうかビックリした。普通、引くでしょ?」
「今まで私が、あなたの悪行にどれだけ引いてきたか。耐性がついたんだよ。それに……」
もっとひどい事を、聞かされるんだと思ってた。
彼女との深い蜜月の話とか。ベッドの上の話だとか……。そういうやましい理由があって、ピアスを片方しかしてないのかと思っていたから。
でも、違った。そっか、そうなんだ。あの香月雅にも、恋愛に対して悩んだ時期があったんだ。
「ん?でも、ちょっと待って。結局、どうしてピアスは片方しかしてないの?」
「中学三年の時、誕プレにピアスをあげたんだ。もちろんお揃いで。だけど、結構サバサバした子でさ。お揃いなんて嫌だ、っていうから俺がどれだけ彼女を好きでお揃いの物をつけたがっているか、このノートを見て知ってもらおうと思ったんだ」
「で、ドン引きしてフラれた?」