ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
あの欠点がなさそうなプレイボーイ香月雅の姿そのものが、まさか偽りだったなんて。恋愛に本気にあらないために、わざと違う自分を演じていたなんて。
そりゃ、香月雅のことが何も分からないハズだ。一つだって、本当の姿を見たことがなかったのだから。
「乾燥機の音だ、思ったより早く終わったね。待ってて、取りに行って来る。あ、ここで着替えてもらおうかな~」
(……うそつき)
その笑顔も、その言葉も。全部ぜんぶ嘘だ。香月雅の本心じゃない。