青春は、数学に染まる。 - Second -
第四話 先送りしていた事案

考査


1学期の中間考査期間に入った。

2年生になって初めてのテスト。
凄く、ドキドキする。






考査期間に入る前の最後の活動の時、早川先生は言った。






「大丈夫です。藤原さんが赤点回避するのは奇跡に近いので。気楽にいってください」






前も思ったけれどさ。

失礼だと思わない?

私、1年の頃と違って家でも勉強しているのに。






例えそれが不安を取り除く為だったとしても、失礼過ぎて目玉が飛び出そうになる。








そして、流石に2回目は容認出来なかった。









…そう。






その日。
私は怒って、怒鳴って…勢いのまま数学科準備室を飛び出した。






そのまま考査期間に入ってしまったのだった。









「真帆。あれから早川先生と話した?」
「いや、全く。連絡も取ってない」



学校帰り、駅のホームで有紗と電車が来るのを待っていた。

有紗は棒に刺さっている唐揚げを頬張りながら私の腕をツンツンと突いてくる。



「あの時はビックリしたよ。私よりも先に真帆が帰っちゃうんだから!」
「ごめんね。勢いだけで体が動いちゃったから、有紗のこと忘れてた」
「…けれどまぁ、真帆が赤点回避したら取り柄が無くなるって私も前に言っちゃったし。先生と同じよね…。ごめんね。真帆が頑張っていること、私と早川先生が1番知っているのに…」
「…全くだよ」




私が飛び出した後、早川先生はかなり落ち込んでいたらしい。




その様子が想像できる。






まぁ、確かに。
今までも何回も言われてきた言葉だから。



まさか私がそこまで怒るとは、先生も予測していなかったのだろう。









………あれ?
もしかして、急に怒った私が悪いのか?








「しかし…浅野先生もびっくりしていたよ。あの後の空気は最悪だったね!」
「ごめんね~」
「まぁ、私もそうだけど。今の真帆は勉強を頑張っているんだから。早川先生もそこを考えて発言しなきゃ駄目だね…。本当、私こそごめんね」
「…うん、大丈夫」




ホームに電車が入ってきた。
帰宅ラッシュなのか、席は空いてなさそう。



「真帆。テスト頑張ってさ、見せつけてやろうよ!! 1年の時とは違うってことを!!」
「そうだね」




最寄り駅に着くまでの25分間。私と有紗はお互いに問題の出し合いをして、テストに備えた。









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