青春は、数学に染まる。 - Second -
その後、決めごとや準備は順調に進み、ファッションショーは生徒会からの許可が下りた。
参加生徒の募集や、プログラムの構成などやることは沢山ある。
「さっきの津田さんの様子。多分、先生のことが好きだよね」
「……」
3組の2人が席を外している間。
神崎くんと雑談をしていた。
「藤原さんの顔、怖かったし。ライバルだとか思った?」
「……」
だから何。
言わないでほしい。嫉妬してしまうから。
「……」
私が無言を貫いていると、神崎くんは別のことを切り出した。
「藤原さん、実行委員会始まってから同好会に行かれて無いんじゃない?」
「………そうだけど、何」
「何って…俺も軽音部行かれてないから、同じかなって思っただけ」
「……軽音部はステージ演奏あるんじゃなかったっけ? 行かなくていいの?」
「俺くらいになると練習行かなくても大丈夫」
「あ……そう」
予想以上にやることが多すぎて、数学補習同好会に行く時間が無い。
ここが終わったら来てねと早川先生に言われていたけれど、終わるのが遅すぎて数学科準備室に行っていない。
「でも、俺は嬉しいよ。部活行けなくても、藤原さんと一緒にいられるから」
「…ふぅん」
「いや…ふぅんって………流石に傷付くわ」
別に、興味ないし。
そして微妙な空気感の中、現れる浅野先生。
「藤原さん、僕の指名でやってもらったのに、ありがとうね。頑張ってくれて」
「…別に、仕事を全うしているだけですから」
「捻くれないでよ」
浅野先生は向かいに座って頬杖をついて私を見る。
それを見た神崎くんは怪訝そうな顔をした。
「…浅野先生、見すぎじゃないですか」
「神崎くんには関係ないよ」
「何、浅野先生も何か思うことあるのですか」
「神崎くんには関係無いって」
不意に蘇る、伊東がいた時の記憶。
いつもこうなる。
…何で?
「あー、浅野先生が私の席に座ってる!!」
「おかえり2人とも」
2人が戻ってきた。
浅野先生は席から立ち、私と目を合わせて微笑んだ。
何その意味深な笑顔。
…本当にやりづらい。