青春は、数学に染まる。 - Second -
第七話 2人を繋ぐ物
将来
文化祭が終わり、一息ついたのも束の間。
明日から中間考査週間に入る。
「あぁ!! 数学嫌い、大嫌い!! 嫌い嫌い!!!」
「何だか僕も嫌いと言われている気がする」
「そうよ!! 浅野先生も嫌い!! 大嫌い!!」
日常に戻った数学補習同好会。
また4人で数学の勉強をしていた。
「もうね、浅野先生。文化祭の一件から本当に嫌い。早川先生と真帆の邪魔をするなんて、本当に許さないんだから」
「…有紗…」
有紗に起こったことをいつも通り話したのだが…今回は失敗だったかもしれない。
数学補習同好会の活動に影響が出ている。
「的場さんと浅野先生はお似合いですから。そちらでくっつかれたら宜しいです」
「……はぁ!? 早川先生、寝言は寝て言ってくれる!?」
「寝言ではありません。僕がずっと前から思っていることです」
早川先生もとんでもないことを言うものだ。
有紗の親友としては…浅野先生とくっついて欲しくない。
「僕は今も、藤原さんのことが好き」
「だから…もう言うなって!! 浅野先生、数学補習同好会から追い出すよ!!!」
「…的場さんの言う通り、浅野先生を追い出すのは賛成です。ですが、そうすると的場さんに数学を教える人がいなくなりますけど。宜しいでしょうか?」
「宜しいでしょうか、じゃないのよ!! 早川先生が教えてくれるという選択肢は無いの!?」
「僕は藤原さん専属ですから」
「まだそれ言っているの!? あぁぁぁもう!! ここの数学教師ってやつは…!!!!」
有紗はイライラしながら頭を掻く。
本当に…カオス。
誰か助けて。
「しかし、的場さん点数伸びましたよね。小テストの点数は今までと比べ物にならないくらいです」
「でしょ? 私の努力の賜物よ!」
「いえ、浅野先生と相性が良いからです」
「はぁ!?」
「的場さんと浅野先生のペアは伸びると、最初から思っていました」
「不快すぎる!!! 私の努力でしょうが!!!」
ギャアギャアと騒がしい有紗を横目に、私はプリントに目を向ける。
全く………早川先生はすぐに有紗を怒らすんだから…。
当の浅野先生は何も言わず、ただただ黙っていた。
文化祭が終わった日から、浅野先生は早川先生の前でも、普通に感情を伝えてくるようになった。
早川先生は何も言わず、至って普通に接しているけれど…。
心の中ではどう思っているのか分からない。