青春は、数学に染まる。 - Second -

お揃い



ペアリング。
ペアネックレス。


アクセサリー屋の前には、カップルにオススメと書かれたポップと共に、様々なペアアクセサリーが並んでいる。
歩きながら横目で見ていると、先生は足を止めた。

「…学校が良ければ、こういうものが一番良いのですが…なかなか難しいですね」

そう言いながらペアリングの1つを手に取って、右手の薬指に嵌めた。

ヤバい。
先生…とても似合う。


「…ねぇ裕哉さん、右手の薬指にリングを嵌めて授業をしてみませんか?」
「え?」
「学校中、話題になります」
「何を急に…。貴女はそれで良いのですか」
「良くないけど、良いような…。何でしょう、優越感と言いますか、特別感と言いますか…」
「独占欲?」
「それも近いかもしれません」

そう答えると、先生はリングを元に戻して私の肩に腕を回した。

「言いたいことは分かります。僕だって今日、真帆さんがそのネックレスを着けて下さっていることで、まさしく同じような感情です」

先生がホワイトデーの時にくれたネックレス。
学校では着けられないが、休みの日はいつも身に着けている。

「しかし、学校で話題になると困りますので、リングはまたにしましょう。真帆さんが卒業するまでは目立ちたくないので」
「卒業したら着けますか?」
「そうですね。そうしましょうか」

先生は私の手を握って歩き始めた。



学校での先生が右手にリングを嵌めていたら…ギャップが凄い。
だけどちょっと見てみたかったかもなんて、心の片隅で思う。


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