陰陽現代事情
 米・ニューズタイム誌 本社-。


 ドガシャン!!

 大柄の白人男性が、机を握り拳で思い切り叩きつけた。

「ひいぃぃぃぃぃぃ・・・・」
 この男の前にいた日本人三人組が震え上がった。

「ええい!! なぜ日本人はこうも画一的で排他的なんだ!!」
 男は叫んだ。この男が、ニューズタイム誌編集長を務める、ユナイテッド・ステイツ氏である。

「とにかく、日本人とビジネスをやるのは疲れる。自分の意見をはっきり主張しないわ、異なる価値観を尊重しない・・・・一体なぜなんだ?」
 ステイツ氏は、この三人に聞いた。
 するとその一人の蘆屋道満は、こう答えるのだった。
「日本人が自分の意見を主張しないのは、他人の意見を尊重せよという風潮のせいです。自分と他人は陰陽関係だから、他人を尊重するなら、自分を尊重してはいけないことになるのです」
 蘆屋は得意そうに答えた。
「なるほど。しかし、他人を尊重せよという風潮なら、われわれ外国人の価値観も尊重しているはずだ。だが日本人どもは外国人に対して排他的な振る舞いをする。これはどういうことだ?」
 ステイツ氏は続けて質問した。
「日本と外国は陰陽関係だからです。他人を尊重せよというのは日本人に対してのことであって、外国人に対しては逆のことをしようとするからです」
 蘆屋の隣にいた安倍は答えた。
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