陰陽現代事情
 そこには、不穏な空気が漂っていた。
「左上位ども・・・・お前たちは国民に、自分のことばかり考えさせて、国家のこと、世界のことを考えさせることを妨げてきた。その傍らで
国民を、政治に関心がない、世界に対して無知だなどと罵ってきた。お前たちの身勝手な言い掛かりのせいで、国民は傷ついている。我々には、傷ついた国民に代わって、お前たちを仕打ちする責務がある・・・・」
 刻下代表が左上位に向かって言った。
「お前たちこそ、過去の帝国主義を賛美している。侵略戦争を正当化することが、言論の自由だと思っている・・・・」
 蘆屋は右上位に言った。
 すると右上位の一味が、怖い目つきで、拳を握りながら、蘆屋のもとへ歩み寄ってきた。そして突然、蘆屋の胸もとを鷲?みにして持ち上げた。
「わああああああ・・・・」
 蘆屋が悲鳴を上げた。
「ああっ・・・・どーしよ、どーしよ・・・・」
 身内の危機に、津宵は後ろの方でたじろいだ。
「おい津宵、何やってんだよ。今こそ『強い女』をアピールする時だろ!」
 蘆屋は右上位の男に喝上げられながら、必死に救援を求めた。
「やだっ!!争いなんてしたくない!!」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。おい、安倍も手伝ってくれよ!」
 容赦なく蘆屋たちに食いかかってくる右上位。人数的に見ても明らかに左上位が劣勢だった。左上位は、右上位の足蹴りやパンチをかわすのが精一杯で、反撃どころではなかった。
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