婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
私に気づいて助かった、と言わんばかりに声をかける部長。私はなんのことかさっぱりで、頭が追いつかない。夏樹くんが広報部を去った…?
「おいまじかよ、あいつ、一色にも言ってないのかよ」
「だからどういうことなんですか部長!」
菫がものすごい剣幕で部長に詰め寄るけれど、今は私も同じ気持ちだから菫を宥めることもできない。
「まぁ、4月には分かるだろうしいいか……。 夏樹の本名な、北条なんだよ。夏樹は母親の旧姓。この会社の後継者ってことを隠して何ヶ所か部署回ってたんだ。下積みってやつ?大変だよなぁ、ほんと」
「北条…!? 後継者ー!?」
菫は大絶叫だ。私も驚いて言葉が出ないだけで、心の中はめちゃくちゃ。
「うちには少なくとも来年度までいる予定だったんだけど、社長のご意向で急遽変更。4月からは社長補佐として本格的に後継者の役割を果たすようになるってさ」
「部長は知ってたんですか? 夏樹の素性!」
「素性って…まぁ、上司だし一応な。 にしても一色には話してると思ったんだけどなぁ。あいつ、お前に相当懐いてたろ」
部長と菫の会話が上手く頭に入ってこない。翔くんは私に好意を向けるのはやめても、仕事ではこれからも関わっていくのだと漠然と思っていた。そこで栞さんが言っていたのを思い出す。
「おいまじかよ、あいつ、一色にも言ってないのかよ」
「だからどういうことなんですか部長!」
菫がものすごい剣幕で部長に詰め寄るけれど、今は私も同じ気持ちだから菫を宥めることもできない。
「まぁ、4月には分かるだろうしいいか……。 夏樹の本名な、北条なんだよ。夏樹は母親の旧姓。この会社の後継者ってことを隠して何ヶ所か部署回ってたんだ。下積みってやつ?大変だよなぁ、ほんと」
「北条…!? 後継者ー!?」
菫は大絶叫だ。私も驚いて言葉が出ないだけで、心の中はめちゃくちゃ。
「うちには少なくとも来年度までいる予定だったんだけど、社長のご意向で急遽変更。4月からは社長補佐として本格的に後継者の役割を果たすようになるってさ」
「部長は知ってたんですか? 夏樹の素性!」
「素性って…まぁ、上司だし一応な。 にしても一色には話してると思ったんだけどなぁ。あいつ、お前に相当懐いてたろ」
部長と菫の会話が上手く頭に入ってこない。翔くんは私に好意を向けるのはやめても、仕事ではこれからも関わっていくのだと漠然と思っていた。そこで栞さんが言っていたのを思い出す。