婚前どころか、フリですが ～年下御曹司？と秘密の溺甘同居～

「あ、でも、可愛いから私の前では何も気にしなくていいよ！」

「…男に可愛いとか、全然嬉しくないっす」

言ってから、彼はあっと言う顔をして悔しそうに顔を歪めた。
その様子につい笑みがこぼれて、ますます彼は不服そうだ。

「翔くんはかっこいいし可愛い。 そういうの含めて丸ごと好き」
｢小春さん…！｣

ガバッと抱きつかれ、あまりの勢いによろけそうになる。しっかりと支えられたから、転んだりなんかしないけど。

「く、苦しい翔くん…」

彼の腕の中でもがく。ちょっと、力強すぎだよ。

「好きです、小春さん。大好きです」
「うん、知ってるよ。ありがとう」

あんまり幸せそうに言うから、きつすぎる抱擁もまぁいいかとそっと背中に手を回す。

「これからは愛情表現、惜しまずにしてくれるんですよね」
「あ、翔くんみたいには難しいよ！ 努力しようとは思ってるけど…」