婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
パスタに絡めるソースが出来上がって、あとは仕上げだけにしてソファに一息つく。18時半を回った。彼に会うのは約一週間ぶりになる。私はソワソワと落ち着かない時間を過ごしていた。
そこでインターホンが鳴るのと、スマホの通知音が同時に響いた。宅配便とかかな?とモニターを覗くと、上品なワンピースに身を包んだ綺麗な女性が映る。お客さん…?ふとスマホを開けば彼からメッセージ。
「急ですが、母が来るそうです…?」
本当にすみませんと謝罪とともにお母様の背格好と服装の特徴が添えられていた。
ってことは、この方は翔くんのお母様…!
嘘でしょう、こんなに急にお会いすることになるなんて…!
私は慌てて応答した。
玄関を開けて数秒、お母様の視線は私を捉えて固まった。どくんどくんと早鐘を打つ心臓。そりゃあ驚くよね。息子の家に尋ねてきたら見知らぬ女が出てきたんだから!
「一色小春と申します! 翔さんと――」
「あなたが翔の彼女?」
翔くんはお父様似のようだけど、美しいお顔立ちはさすが親子といったところか。そして美人の無表情には迫力がある…!
「は、はい。 翔さんとお付き合い――」
「まぁぁ…! なんって可愛らしい子なの!」