婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
無表情…から一変、お母様は破顔して私の手を取る。
「ずっとお会いしたかったのよ。翔が何をしても譲れない女性……あなたなのね」
あまりに嬉しそうにされるので、私は気恥ずかしく思いながらもその気持ちが伝わってきて暖かくなった。
リビングに上がり、お茶を出してお母様とふたり向き合う。
「栞ちゃんと結婚しないって言い出した時は驚いたけど、翔に、予定より早く後継者として社長補佐になるのを受け入れてまで守りたい人ができたことが私は嬉しいのよ。翔は小春さんから見てどんな子かしら?」
「いつも私のことを考えてくれて、強く優しい人です。なのでたまに抱え込みすぎるところは心配ですね」
お母様は朗らかに笑う。なんて上品なんだろう。彼の育ちの良さはやはり家庭にあるのだろう。
「人に弱みを見せたがらないけど、クールぶってるだけで意外といっぱいいっぱいになりがちなのよね。きっと小春さんが、頑固で強がりなあの子の拠り所になってくれているのね」
そうあれていたらいいな。頑張り屋の彼に負けないように、私も強くならなきゃ。お父様にも、認めてもらえる人間になって翔くんを安心させたい。
「今度は我が家にもいらっしゃい。皆にも紹介したいわ」
皆…?翔くんって一人っ子だったよね。大家族って話も聞いたことがない。もしかしなくても使用人の方々がたくさんいるのだろうか。私がマンションに戻った時に車を運転してくれたあの男性は、北条家専属の運転手だった。皆と言うほどたくさんいても不思議ではない。
「ずっとお会いしたかったのよ。翔が何をしても譲れない女性……あなたなのね」
あまりに嬉しそうにされるので、私は気恥ずかしく思いながらもその気持ちが伝わってきて暖かくなった。
リビングに上がり、お茶を出してお母様とふたり向き合う。
「栞ちゃんと結婚しないって言い出した時は驚いたけど、翔に、予定より早く後継者として社長補佐になるのを受け入れてまで守りたい人ができたことが私は嬉しいのよ。翔は小春さんから見てどんな子かしら?」
「いつも私のことを考えてくれて、強く優しい人です。なのでたまに抱え込みすぎるところは心配ですね」
お母様は朗らかに笑う。なんて上品なんだろう。彼の育ちの良さはやはり家庭にあるのだろう。
「人に弱みを見せたがらないけど、クールぶってるだけで意外といっぱいいっぱいになりがちなのよね。きっと小春さんが、頑固で強がりなあの子の拠り所になってくれているのね」
そうあれていたらいいな。頑張り屋の彼に負けないように、私も強くならなきゃ。お父様にも、認めてもらえる人間になって翔くんを安心させたい。
「今度は我が家にもいらっしゃい。皆にも紹介したいわ」
皆…?翔くんって一人っ子だったよね。大家族って話も聞いたことがない。もしかしなくても使用人の方々がたくさんいるのだろうか。私がマンションに戻った時に車を運転してくれたあの男性は、北条家専属の運転手だった。皆と言うほどたくさんいても不思議ではない。