婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「夏樹くん、あのね。 昨日の話なんだけど、」
私がようやく切り出したその瞬間、どこからかスマホの着信音が鳴り響いた。私のものではない、となると、夏樹くんか。音がデフォルトのままなのが夏樹くんらしい。
「いいよ、出て」
「すみません、失礼します」
少し離れたところで電話を取った夏樹くんを見て、私はふぅと息を吐く。無駄に入っていた力が抜けた気がする。このタイミングの電話は、一旦落ち着けってことかな。
なんて考えていたら、通話を終えたようだ。
「大丈夫だった?」
「はい、いいえ、大丈夫じゃないです。小春さんが」
「私?」
どういうことだろう。小首を傾げると、夏樹くんは珍しく焦ったように言う。
「小春さんのマンションの近隣で、空き巣に入られたそうです」
それから私にスマホの画面を見せた。記事には、見覚えのある街並みと地区名。
「え、ほんとだ…結構近い」
近いどころか、いつも出勤するのに通るところだ。記事に書いてある犯行時刻は午前八時すぎ。ほんの30分、時間が違えば鉢合わせしていてもおかしくなかったかも。
想像すると、ぞわりと背筋が凍る。
私がようやく切り出したその瞬間、どこからかスマホの着信音が鳴り響いた。私のものではない、となると、夏樹くんか。音がデフォルトのままなのが夏樹くんらしい。
「いいよ、出て」
「すみません、失礼します」
少し離れたところで電話を取った夏樹くんを見て、私はふぅと息を吐く。無駄に入っていた力が抜けた気がする。このタイミングの電話は、一旦落ち着けってことかな。
なんて考えていたら、通話を終えたようだ。
「大丈夫だった?」
「はい、いいえ、大丈夫じゃないです。小春さんが」
「私?」
どういうことだろう。小首を傾げると、夏樹くんは珍しく焦ったように言う。
「小春さんのマンションの近隣で、空き巣に入られたそうです」
それから私にスマホの画面を見せた。記事には、見覚えのある街並みと地区名。
「え、ほんとだ…結構近い」
近いどころか、いつも出勤するのに通るところだ。記事に書いてある犯行時刻は午前八時すぎ。ほんの30分、時間が違えば鉢合わせしていてもおかしくなかったかも。
想像すると、ぞわりと背筋が凍る。