婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
翔くんと会議室でしばらく確認作業をしていると、ポケットでスマホが震えた。
ディスプレイには矢野 菫と表示されている。おそらく仕事の話で、わざわざ電話をしてくるということは急を要するのかもしれない。翔くんに断って、通話ボタンをタップした。
「菫? どうしたの、」
『小春、ラグ・ア・カルムとの打ち合わせって、来週って言ってたよね?』
「そうだけど、何かあった?」
『今、その担当さんから電話があって。 今日の打ち合わせを1時間早められないかって』
「え、今日? ちょっと待って、どういうこと?」
心臓が嫌な音を立てて早まる。スマホを持つ手に変な汗もにじんできた。連絡ミス。嫌な予感がじわじわと広がる。
『すぐに担当から折り返しますって一旦切ったんだけど、まずいよね? これ』
「うん…。 ありがとう菫、とりあえず戻るね」
通話を切って、私の様子をずっと見守っていた翔くんの方を見る。荷物をまとめながら立ち上がる私に合わせて、翔くんも会議室を出る姿勢に入ってくれる。そのまま廊下に出て足早にオフィスを目指した。
「ラグ・ア・カルムとの打ち合わせは、来週の木曜日11時からの予定だったよね?」
「はい。 先方が、その時間が都合がいいと」
「どういうわけか、それが今日らしいの。それも、1時間早めて10時からに変更してほしいって。 とりあえず折り返す。まだ、向こうの確認ミスかもしれない」
どこでミスがあったのか、どこに問題があったのか。こちらが悪い可能性もある。翔くんのことだから、そんな些細なミスをするとは思えないけれど、今重要なのは相手があと1時間半後に打ち合わせをするつもりで電話してきているということだ。
「ただの勘…贔屓目って言われても仕方ないけど。私はあなたがこういうミスをするとは思えないの」
翔くんが何か言いたそうだったけれど、それを聞く前に私は電話を取った。
ディスプレイには矢野 菫と表示されている。おそらく仕事の話で、わざわざ電話をしてくるということは急を要するのかもしれない。翔くんに断って、通話ボタンをタップした。
「菫? どうしたの、」
『小春、ラグ・ア・カルムとの打ち合わせって、来週って言ってたよね?』
「そうだけど、何かあった?」
『今、その担当さんから電話があって。 今日の打ち合わせを1時間早められないかって』
「え、今日? ちょっと待って、どういうこと?」
心臓が嫌な音を立てて早まる。スマホを持つ手に変な汗もにじんできた。連絡ミス。嫌な予感がじわじわと広がる。
『すぐに担当から折り返しますって一旦切ったんだけど、まずいよね? これ』
「うん…。 ありがとう菫、とりあえず戻るね」
通話を切って、私の様子をずっと見守っていた翔くんの方を見る。荷物をまとめながら立ち上がる私に合わせて、翔くんも会議室を出る姿勢に入ってくれる。そのまま廊下に出て足早にオフィスを目指した。
「ラグ・ア・カルムとの打ち合わせは、来週の木曜日11時からの予定だったよね?」
「はい。 先方が、その時間が都合がいいと」
「どういうわけか、それが今日らしいの。それも、1時間早めて10時からに変更してほしいって。 とりあえず折り返す。まだ、向こうの確認ミスかもしれない」
どこでミスがあったのか、どこに問題があったのか。こちらが悪い可能性もある。翔くんのことだから、そんな些細なミスをするとは思えないけれど、今重要なのは相手があと1時間半後に打ち合わせをするつもりで電話してきているということだ。
「ただの勘…贔屓目って言われても仕方ないけど。私はあなたがこういうミスをするとは思えないの」
翔くんが何か言いたそうだったけれど、それを聞く前に私は電話を取った。