婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「小春さん、お腹すいてます?」

翔くんが用事は後でいいというので、流行りのショップなどを気まぐれに見て周っていたらレストラン街についた。朝食が遅かったとはいえもう1時を過ぎている。ちょうど空腹を感じる頃だ。

「うん。 もういい時間だもんね。翔くんは?」
「俺もここ見てたらめちゃくちゃ腹減ってきました」

うんうん。ショッピングモールのこの通りって誘惑が多いよね。

「何食べようか…。 あ…オムライス」
「オムライス…」

重なり合った声に、顔を見合わせる。彼の驚いた顔がおかしくて、くすくすと笑った。

「翔くん、可愛いチョイスだね」
「…小春さんこそ」

ということでお昼はオムライスが美味しそうなお店に決定だ。

豊富なメニューから味と付け合せのサラダを選んで注文する。
店員さんがテーブルを去ってから、翔くんの顔をじっと見つめる。さっきの店員の女性、すごく翔くんのこと気にしているようだった。頬がゆるゆるで目がきらきらしていたし、たぶん彼がかっこよすぎるのだろう。誰が見てもイケメンと言える翔くんは、基本どこにいても女子の注目の的だ。オフィスでもすれ違った人がみんな振り返るし、彼を一目見たくてわざと広報部に用事を作る社員もいるぐらい。頻度が多くなるとか、翔くんが困るようなことになればうちの上司が対処するだろうけど、そこはエリートの集まり。みんな意外と節度を持って見る専門に徹しているようだ。あからさまに彼にロックオンする人はいない。
とはいえ、常に視線は一緒にいてひしひしと感じる。
本当に、惚れ惚れするくらいかっこいいのだ。
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