婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「お冷いかがですか?」
翔くんが頬の熱を逃すように水を一気飲みしたのをちゃんと見ていたらしい。店員としては満点なのだろうけど、それだけじゃないのが視線からありありと伝わってしまう。
彼は気づいているんだろうか。コップを手渡す時に、店員の女性と微かに手が触れる。翔くんは無反応だけど、彼女の方は明らかに意識を…というか、意図的にすら感じるくらいだ。
仮にも一緒にいる私のことを、店員の女性は見えていないらしい。完全に翔くんに夢中だ。
ちょっとだけもやっとしたものが顔を出したけど、すぐに振り払う。だって、私には関係のないこと。仮に、この女性がなにかアクションを起こしたとして、それでふたりに何かが芽生えたとしても、それは私の知ったことではない。彼の気持ちに答える気がなくて、結婚のことが解決したら彼から離れるのだから。きっと、翔くんと寝る時におやすみを言い合って、朝起きたら彼がおはようと朝ごはんと共に迎えてくれて、会社でも一緒のこの生活がいけないのだ。物理的に近くにいるから、前までならなんでもない些細なことでも心乱される。翔くんがイケメンだから。キラキラ真っ直ぐな愛情表現に慣れていないから。ずっと触れていたら、そりゃあ気持ちも揺れるわけだ。
程なくして料理が運ばれてきた。ふわふわの卵がぷるぷるしてて、つついたらライスの上から落っこちちゃいそう。
1口食べれば、やっぱり美味しい。翔くんも幸せそうに頬張っている。
「小春さん、こっちも食べてみますか?」
見入ってしまっていたからだろう。ぐるぐる考えていたら、物欲しそうに見えたみたいで恥ずかしい。
翔くんが頬の熱を逃すように水を一気飲みしたのをちゃんと見ていたらしい。店員としては満点なのだろうけど、それだけじゃないのが視線からありありと伝わってしまう。
彼は気づいているんだろうか。コップを手渡す時に、店員の女性と微かに手が触れる。翔くんは無反応だけど、彼女の方は明らかに意識を…というか、意図的にすら感じるくらいだ。
仮にも一緒にいる私のことを、店員の女性は見えていないらしい。完全に翔くんに夢中だ。
ちょっとだけもやっとしたものが顔を出したけど、すぐに振り払う。だって、私には関係のないこと。仮に、この女性がなにかアクションを起こしたとして、それでふたりに何かが芽生えたとしても、それは私の知ったことではない。彼の気持ちに答える気がなくて、結婚のことが解決したら彼から離れるのだから。きっと、翔くんと寝る時におやすみを言い合って、朝起きたら彼がおはようと朝ごはんと共に迎えてくれて、会社でも一緒のこの生活がいけないのだ。物理的に近くにいるから、前までならなんでもない些細なことでも心乱される。翔くんがイケメンだから。キラキラ真っ直ぐな愛情表現に慣れていないから。ずっと触れていたら、そりゃあ気持ちも揺れるわけだ。
程なくして料理が運ばれてきた。ふわふわの卵がぷるぷるしてて、つついたらライスの上から落っこちちゃいそう。
1口食べれば、やっぱり美味しい。翔くんも幸せそうに頬張っている。
「小春さん、こっちも食べてみますか?」
見入ってしまっていたからだろう。ぐるぐる考えていたら、物欲しそうに見えたみたいで恥ずかしい。