婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「そうだね。その通りだよ。 それで、私はずるいから、彼の気持ちに答える気はないのに本気で離れることもできないでいる」
「私が言うのも何ですが…意外と、なんてことないことかもしれませんよ。 翔はただ小春さんのことが好きで、小春さんもまた翔が気になっている。それって普通の恋と一緒です。皆何かしら悩みは持っているだろうし、壁もあると思うんです。 小春さんにとってはその壁が分厚くて大きいのかもしれないけど……それを壊すお手伝いなら、任せてください。翔のためではなく、小春さんのために、私にできることはなんでも協力します」
栞さんの凛とした声が、すうっと胸に響くようだった。翔くんが私を好きで、私は彼が気になっていて、それは普通の恋。言葉にしてみれば、単純なこと。私がちょっと勇気を出せば、それは簡単に実ってしまうのかもしれない。
その勇気は、簡単には出せないかもしれないけれど……
「普通の恋……そっか、そうなのかも。 ありがとう、栞さん」
翔くんの背景じゃなくて、翔くん自身と、ちゃんと向き合いたい。釣り合わないとか身分が違うとかは一旦置いといて、彼のことを知りたい。そう思ってしまうほどに、もう戻れないところまで来ているのかも。
「でも今は、翔じゃなく私のことを考えていてくださいね」
栞さんが優美な笑顔で言うから、私はくすっと笑みがこぼれた。
栞さんとの時間はあっという間だった。栞さんの会社の好きな人の話や翔くんと栞さんの学生時代の話で盛り上がり、豪華で可愛らしい見た目のスイーツを堪能したあとすぐに解散するのはお互いなんだか寂しくて櫻坂のエリアを歩いた。ブティックや宝石店、老舗呉服店などハイグレードなお店が立ち並ぶそこは華やかな世界で、やっぱり栞さんは街の雰囲気によく似合っていた。
栞さんと別れて、翔くんの家に帰る。彼と向き合うと決めて、栞さんにも背中を押されたからちょっと緊張する。
「ただいまー…」
「私が言うのも何ですが…意外と、なんてことないことかもしれませんよ。 翔はただ小春さんのことが好きで、小春さんもまた翔が気になっている。それって普通の恋と一緒です。皆何かしら悩みは持っているだろうし、壁もあると思うんです。 小春さんにとってはその壁が分厚くて大きいのかもしれないけど……それを壊すお手伝いなら、任せてください。翔のためではなく、小春さんのために、私にできることはなんでも協力します」
栞さんの凛とした声が、すうっと胸に響くようだった。翔くんが私を好きで、私は彼が気になっていて、それは普通の恋。言葉にしてみれば、単純なこと。私がちょっと勇気を出せば、それは簡単に実ってしまうのかもしれない。
その勇気は、簡単には出せないかもしれないけれど……
「普通の恋……そっか、そうなのかも。 ありがとう、栞さん」
翔くんの背景じゃなくて、翔くん自身と、ちゃんと向き合いたい。釣り合わないとか身分が違うとかは一旦置いといて、彼のことを知りたい。そう思ってしまうほどに、もう戻れないところまで来ているのかも。
「でも今は、翔じゃなく私のことを考えていてくださいね」
栞さんが優美な笑顔で言うから、私はくすっと笑みがこぼれた。
栞さんとの時間はあっという間だった。栞さんの会社の好きな人の話や翔くんと栞さんの学生時代の話で盛り上がり、豪華で可愛らしい見た目のスイーツを堪能したあとすぐに解散するのはお互いなんだか寂しくて櫻坂のエリアを歩いた。ブティックや宝石店、老舗呉服店などハイグレードなお店が立ち並ぶそこは華やかな世界で、やっぱり栞さんは街の雰囲気によく似合っていた。
栞さんと別れて、翔くんの家に帰る。彼と向き合うと決めて、栞さんにも背中を押されたからちょっと緊張する。
「ただいまー…」