婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
玄関を入ると、センサーが反応して照明がぱっとつく。物音がしない。靴はあるからいるはずなんだけど…時刻は19時を回っている。翔くんには帰宅時間と、夕飯を買って帰ることを連絡してある。返信も来た。
そっとリビングのドアを開けると、ソファからはみ出す黒髪。テレビが映画のトップメニューを表示したままになっている。たしか去年話題になっていたアクションものだ。…って、そんなことはよくて。
3月も後半、暖かい日もあるが、夜はまだ冷える。寝落ちしたなら余計にだろう。起こさないように静かにブランケットをとってきて、彼の体にかける。
と、瞼がぴくりと動いて開いた。
「翔くん? 起きた? ただいま。ここで寝てたら寒くな…――っ、あ、翔くん!?」
彼の瞳を覗き込み目が合ったと思った瞬間、ぐいっと体が引っ張られ、気がつくと翔くんに覆い被さるように腕に包まれていた。
「…やっと帰ってきた」
耳元で翔くんの声がダイレクトに響く。
「栞と会うの、楽しかった?」
「う、うん。楽しかったよ。 翔くんは? 何してたの」
この体制はどう考えてもおかしいけれど、ぎゅっと掴んで離さない翔くんの抱擁から逃れられず、そのまま会話する。ていうか、若干寝ぼけてない?
「俺は…寂しかった。 映画見てたけど、小春さんと見たかったなって。アクション苦手?」
「苦手じゃ…ないよ」
「じゃあ今度、一緒に見ようよ」
いつもよりくだけた口調。やっぱり寝ぼけてるでしょ…。
「…っうん、分かったから、離して? 起きたならご飯にしよう。遅くなってごめんね」
彼の体を押して身を起こそうとすると、翔くんの抱きしめる力が強くなる。
「嫌です。…離れないで」
「翔くん、」
そっとリビングのドアを開けると、ソファからはみ出す黒髪。テレビが映画のトップメニューを表示したままになっている。たしか去年話題になっていたアクションものだ。…って、そんなことはよくて。
3月も後半、暖かい日もあるが、夜はまだ冷える。寝落ちしたなら余計にだろう。起こさないように静かにブランケットをとってきて、彼の体にかける。
と、瞼がぴくりと動いて開いた。
「翔くん? 起きた? ただいま。ここで寝てたら寒くな…――っ、あ、翔くん!?」
彼の瞳を覗き込み目が合ったと思った瞬間、ぐいっと体が引っ張られ、気がつくと翔くんに覆い被さるように腕に包まれていた。
「…やっと帰ってきた」
耳元で翔くんの声がダイレクトに響く。
「栞と会うの、楽しかった?」
「う、うん。楽しかったよ。 翔くんは? 何してたの」
この体制はどう考えてもおかしいけれど、ぎゅっと掴んで離さない翔くんの抱擁から逃れられず、そのまま会話する。ていうか、若干寝ぼけてない?
「俺は…寂しかった。 映画見てたけど、小春さんと見たかったなって。アクション苦手?」
「苦手じゃ…ないよ」
「じゃあ今度、一緒に見ようよ」
いつもよりくだけた口調。やっぱり寝ぼけてるでしょ…。
「…っうん、分かったから、離して? 起きたならご飯にしよう。遅くなってごめんね」
彼の体を押して身を起こそうとすると、翔くんの抱きしめる力が強くなる。
「嫌です。…離れないで」
「翔くん、」