婚前どころか、フリですが ～年下御曹司？と秘密の溺甘同居～

母が何やら止めに入るのを聞かずに彼は続ける。

｢姉ちゃんさ、どこの男と一緒に住んでんの？｣
｢だから遥太！ そんな聞き方ないでしょう…！｣
｢父さんも母さんも姉ちゃんに気遣いすぎ。 で、姉ちゃん？｣

思いもよらない話に心臓が早鐘を打つ。翔くんと同居することは話していない。翔くんはうちの実家に挨拶に行くと言ってくれていたけれど、期間限定の、しかも恋人のフリを頼まれたなんて複雑な話を全部するわけにもいかないし、私が断っていた。それを今、なんでバレてるわけ！？いや待って、落ち着け。たぶん3人は私が誰かと同居していることに確信を持っていない。だから父と母はどう聞こうか言い淀んでいたんだろうし、その点遥太は不確定要素を確定させるのに躊躇をしない性格だ。

｢一緒には住んでないよ｣