美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 いつもならそういうのを面倒くさいと思うのに、なぜか彼女がそうなっているのを見ると嬉しい。

 よくわからない。でも、確認しておきたいことがあった。

「あいつ……あの医者は君のなんだ?」

 下を向いてもじもじと僕の返事を待っていた彼女は、びっくりしたように顔を上げた。

「え?」

「え?じゃない。あの、医者とニコニコ……いや、何か渡して話していただろ?」

「あ、あの先生は伯父の主治医の先生です。いつもお世話になりっぱなしで、今日やっと約束していたサボテンをお渡ししにきたんです」
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