美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「その人は舞台女優なんだ。花ならきっともらい慣れてるから花言葉とか知っているような気がするんだ」

「直接、お気持ちを伝えづらいのですか?」

「伝えたよ」

「は?」

「断ったんだ。それでも、仕事上やその他もろもろで付き合いを断つことができない。そうすると……困ったことにあちらは諦められないと言うんだ。でも、何度顔をあわせても求められる関係にはなれない。だからね、困っているわけだ」

 サングラスを外して目尻をもんだ。そしてさくらを見た。さくらは驚いた。俳優さんみたいに整った顔。もしかして俳優?

「何?」
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