美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「あ、お客様って俳優さんでしたか?私そういうの詳しくなくて……お店にもノースエリアにお住まいのそういったお客様が結構いらっしゃるのに、私ったらそういうのに疎くて、全然気がつかないからご機嫌悪くされるお客様が結構いらっしゃるので……すみません」

「いや、違うけどなんで?」

「それはその、なんかそう思ったんですよ。そういう雰囲気があるとか言われません?」

 ため息をついている。さくらは思った。この人こういうこともしかして言われ慣れてる?

「俳優ではないけど、まあ、人前に立つこともあるからかな?えっと、注文は大丈夫かな。夕方までに欲しいんだ」

「では、オレンジのバラと黄色のフリージアを中心に入れましょうか。あと、ミモザも『友情』のほかに『エレガンス』という意味もあるので女優さんにはいいです。多めに周囲はグリーンや白を取り入れて、清楚に仕上げます」
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