美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「はい、ありがとうございます。神崎さんも働きすぎないでくださいね」
「はあ?」
「椎名さんが言ってましたよ。仕事漬けの毎日なんだそうですね。たまには息抜きしてください」
「椎名の奴、余計なことばかり言って……。そのうち落ち着いたら毎日君の店に顔を出して、今度こそ息抜きさせてもらう。へんてこな歌を聞かせてくれ」
「もう、そうじゃないでしょう」
「ああ、今度ゆっくり食事でもしよう。またな」
「はい」
彼には油断すると考えていることすべてがばれてしまいそう。私は気を引き締めて彼と話さないとだめだなと思った。