美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「……あの、ここ座ってもいい?」

 中学生の女の子二人組が私に聞いた。

「ええ、もちろん。参加費用は大丈夫ですか?」

「うん。ママたちにお金もらって来たから」

「そう、じゃあ座ってください。説明しますね」

 私はテーブルに続々とつめかけるお客様のお相手を始めた。

 すると、いつの間にか新しい看板が立てられていた。料金が倍以上になるが別な花材でこちらもありますと矢印が書いてある。

 少し違う花材を聞いてこられた方には、あちらでやっておりますと紹介すると皆そちらに行く。

 結局、子供とお母さんなど家族連れや若いカップルは私のほうへ、少し年配の落ち着いた人たちやセレブはあちらへと自然に別れた。

 またも神崎さんにしてやられた。結果オーライなのだけど、このもやもやはいつまで続くのかしらと皆を教えながら思うのだった。
< 137 / 403 >

この作品をシェア

pagetop