美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
提案~side蓮
「蓮様」
「なんだ」
「そろそろお時間ですよ」
「あと五分」
一体全体何なのか。あの男は誰だ?おととい通りがかった時もいた。昼休みに必ず来るのか?
「蓮様。彼は隣のビルに入っている保険会社の営業です。おそらくは彼女に何か保険を勧めているんじゃないですかねえ」
「それにしても、何だ、あの距離感は……」
ふたりは店先で頭を突き合わせてタブレット端末をのぞきこんでいる。危ない距離感だ。