美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「カードはいらない。リボンの色はそちらに任せるよ。花色などとのバランスでなんとでもしてほしい」

「わかりました。では、こちらの予約表をご記載くださいませ」

 彼は綺麗な字で『神崎 蓮』と書いた。ん?もしかして……。私は帳簿をめくり、見つけた。

「神崎様って、もしかしてあの……」

 すると、微笑みを浮かべた彼が答えた。

「もしかすると、俺の名前や会社名で椎名が注文していたことがあったかもしれない。うちはここで花は必ず頼むと教えられたからね」

「神崎造船の神崎佑様と、神崎蓮様のお名前でいつもご注文をちょうだいしておりました。毎度当店を御贔屓頂きありがとうございます」
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