美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 あのイベントでアレンジ教室をやったのが良かったのだろう。名取や僕も陰ながら協力し、ノースエリアの昔から住む人たちを名取が、彼女が新しくサウスエリアに越してきた人たちを中心にこの店を売り込んだ。

 今日見たところでは、相当彼女も忙しくなったのだろう、店を伯母さんが手伝いに来ているようだった。

 ビジネス街の以前顧客となった会社は半数以上がリピーターになっていると電話では話していた。いい傾向だ。名取もびっくりだろう。店はいいのだが、問題は彼女だ。全然自分から連絡してこない。何故だ。

 だから俺のほうから夜に電話すると、彼女は嬉しそうにこんなに客が来たと報告する。直接顔が見て話をしたいと何度も思った。なのに時間がない。

 今が大事な勝負時だ。本当は店に行き、今後の作戦も話し合いたかった。
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