美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 趣味の一環で前は乗っていたが、最近乗るたびに仕事とどうやって結び付けられるかと考えるようになった。

「今調べましたら、明日は初夏の陽気になるそうですし、ぴったりですね。デートには最適です」

 僕はびっくりして、椎名のほうを見た。

「お前、誰がデートと言った?仕事だ仕事。彼女を誘うとは言ってないぞ」

「へえー。定休日を確認させておいて、どの口が……」

「黙れ。彼女も頑張っているし、たまには癒してやらないといけない。これもマネジメントのひとつだ。出資者が気遣う店主へのメンタルマネジメントだ」
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