美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 さくらは勢いよく頭を下げた。毎回数万円の注文をしてくださるお客様で大口の取引先だ。眼鏡をかけたスーツを着た男性がいつもご注文にいらっしゃる。確か椎名様という方だ。予約に名前が書かれている。

「父の名前での注文が多いかもしれないな。椎名は家の方の仕事が多いからね。そうだ、母にもせっかくだから花束を今作ってもらえるかな?」

「もちろんです。どのような感じに致しますか?」

「バラが好きなんだ。バラでお願いしようかな」

「ピンクの感謝、ホワイトは尊敬、紫は気品など意味します。赤は愛を意味しますが、どうしましょう?」

「じゃあ、赤以外でお願いしようか」

「かすみ草は幸福と感謝を意味します。それでまとめましょうか?あと周りはサービスで私がいいと思うものを入れておつくりしますね」
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