美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「確かに。そうよね。社長と相談しないと……」

 伯母は苦笑いしている。

「さくらはそういうのやってなかったから、経営やお金のことはからきし駄目ね。きちんと気をつけないとだめよ」

「……ほんとよね。でも、勉強してもダメかも。私、先々を見通すとかお金を回すとかほんと苦手。伯母さん色々教えてね」

「何言ってんのよ。名取グループのやり方を聞いてやればいいわ。売り上げや仕入れはきちんと把握しなさいね」

「はーい……でも、自信ない」

 本当に私だけならすでにこの店は傾いてる。すべて段取りしてくださった神崎さんのお陰なんだ。拗ねてる場合じゃない。感謝して、お返ししないと……。
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