美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 今日も彼から電話が来た。それにしても時間が早すぎる。まだ、昼過ぎだ。何かあったのかとびっくりして電話に出た。

「ありがとうございます、アレンジ教室も盛況で、ビジネス街の数社があれからリピーターになりました。全部神崎さんのおかげです。あの、どうしたんですか。まだ昼過ぎですよ」

「ああ、少し話したいことがあってね。僕のお陰だというなら、ちょっと僕の頼みを聞いてもらいたい」

「頼みですか?私にできることなら何でもしますよ。あ、もちろん儲けから投資してくださった分をお金でもお返しするつもりです。でも、そちらは社長と相談してまたご連絡を……」

「うーん。そういうのはいらない」

「お金はもちろん利益分を上乗せして……」

「お金以外で返してもらうってのはどうかな」
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